大事なこと

vol.139 - 2022.3.21

先日
ある鮨懐石のみせにいきました。

その料理店には
女性のソムリエールがいて、
ワインについて詳しいのはもちろんだけど
取り揃えている色々な日本酒についても
まるでワインのように
詳しい解説をしてくれるのです。

「こちらの吟醸酒のファーストアタックは、まるでブルゴーニュのように複雑な香りがいたします。
でも飲み進めていくとまろやかで華やかな味に変化するんですよ。」

彼女の楽しそうで且つ誇りが感じられる立ち居振る舞いに引き込まれて、

実に楽しくて充実した時間を過ごせました。

一方で
これも先週行った金沢の有名寿司屋でのこと。

因みに客単価は前述の鮨懐石店の数倍です。

白ワインはありますか?
との問いかけに
これしかありませんと持ってきたのがKENZO。
注文したケンゾーエステイトの ”あさつゆ” を
何のプレゼンテーションもなく、カウンター越しに無造作に抜栓するだけ。
ぶどうの品種すらわからない感じでした。

この2店舗のサービスを受けて改めて痛感したのは、
飲食店が売っているのはワインや日本酒という
商品そのものだけではなくて、
それを楽しむシチュエーションを含めて
付加価値を買ってもらっているのだ、ということです。

同じ銘柄のお酒でも、
雰囲気のよい店で飲むのと、騒がしい居酒屋で飲むのとは
商品価値という点では別物だし、同じ店が同じお酒を出す時だって、
どんなグラス(器)で、どんなタイミングで、
どんな接客で出すかによって、
お客様にとっての価値は大きく違ってきますよね。

ワインについても銘柄によっては店で出しているのと同じものが
酒販店で何分の一の価格で買えたり、
ネット等で調べてお酒の原価に詳しいお客さまも沢山います。
そんな時代に
どうして原価の何倍ものお金を払わなきゃいけないのか?
と思われるようでは、プロとして失格だということです。

ほかにはない工夫をして
それにふさわしい付加価値を提供しなければ
お客様の納得は頂けないということです。