再充填

vol.197 - 2024.2.20

最近、コロナ禍後のレストランの役割やあり方をよく考えます。

いつも思うのはレストランの語源「RESTORE」です。

レストアとは、修復したり復元したり回復したりという意味です。

心と体のメンテナンス、”気持ちの再充填が出来る場所” というのが最近の思い。

先日そんなことを身をもって体験する出来事がありました。

 

初めて訪れた十割蕎麦で有名な蕎麦屋さん。

「一人です。」

ようこそ!!!!感満載でL字型のカウンターに通された。

夜はバーっぽい営業をされるらしく、店主のこだわりが書棚のように垣間見える素敵な空間はほぼ満席。

次々に入ってくるお客さんのなかにベビーカーを押して入ってきた若い夫婦が申し訳なさそうにしていたら、

劇団員の様に声が通るスタッフが「ぜんぜん大丈夫ですよ!」と4名席を2席つぶしてニコニコご案内。

 

メニューを見ながら ざる蕎麦のレギュラーの量をきいたら

「そこまで多くないので男の人だったら大体大盛りにされますよ」とのことで、

少し迷っていると奥のカウンターにいたオーナーらしき女性が

「足りなかったら後から追加できるんで言ってくださいね」とフォロー。

この絶妙なタイミングでのフォローに、思わず初めての店ならではの警戒感がスーッとなくなっていきます。

大盛りを頼みます。

そうすると麺とかえし(ツユ)の最終バランスが崩れて、かえしを少しだけくださいとお願いしました。

目の前の男性スタッフが素早く新しいかえしを持ってきてくれて、

その直後に女性オーナーが山葵と葱のセットと一緒に自家製の浅漬けを出してくれて

小声で「これ結構おいしく漬かったからよかったら食べてください」って。

心の中にぽっと温かい炎が灯ったそんな瞬間でした。

 

対極的な体験です。

県外でパッと見て良さげだなと思った意識高い系のおしゃれ居酒屋。

開店直撃で覗くと今日は一杯とビシッと断られました。

「そこの立ち飲みのカウンターはダメですか?」と尋ねると、「立ちだったらいいっすよ」と通された。

焼き場に立っているスタッフに友人が頼もうとすると

俺は注文を受ける役割りじゃないんだよなー感を出して、ちょっと待ってと告げられる。

酒も料理も悪くないのにスタッフのウェルカム感がないのがもったいないなと感じたし、

店全体に根本的なホスピタリティ文化が欠落してて残念でした。

 

近い時間軸で経験した2つのエピソードがあまりにも対極的なレストラン体験だったので、

もう一度僕自身も「我が振り直せ」の感覚で、客観的にレストランのあり方を考えてみる。

 

僕が好きなレストランは、居心地がいいレストランだ。

商品やサービス・空間の品質や高い安いも勿論だいじだけど、居心地や安心感がないと満足感に繋がらない。

と考えるとRESTAURANTとは、

ワクワク感や安心の補充が出来る場所なんだろうなぁとつくづく思いました。